第5次エネルギー基本計画(案)に関する研究者としての意見

日本でも再エネ100%の脱炭素社会をつくることは可能

日本のエネルギー・ミックスと温暖化対策目標を考える研究者グループ(JUST)

  • 二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスの人為的排出がある限り気温は上がり続ける。パリ協定では今世紀後半にゼロ・エミッション社会にすることに合意した。日本もエネルギー・システム転換を急ぐ必要がある。
  • 世界的に再生可能エネルギー(以下では再エネ)の発電コストが最も安価になりつつある。今後は再エネと省エネを中心とした電力網システムが世界の主流となる。日本は政策・普及・技術面で出遅れている。
  • 日本でも、エネルギー総需要削減のもとで2050年のエネルギー・システムを再エネ100%で構成することが可能なことを、私たちの研究グループがシナリオ研究で検証した。
  • 再エネベースの地域分散ネットワーク型エネルギーシステム運営政策の確立が緊急課題であり、その際の再エネシステムの電力変動に関する懸念は、デマンド・レスポンス(需要側調整)、揚水・水素・蓄電池などで調整可能である。
  • 以上から、2018年5月16日に政府が発表した第5次エネルギー基本計画(案)は、技術と経済という両側面から世界と日本の状況を反映しておらず、見直されるべき点を多く含むものだと考えられる。