Scientists for Future Japanが「Fridays For Futureの若者を支持する日本の科学者としての声明」を発表

気候変動対策の緊急性を訴え、2019年9月20日の世界および日本の若者たちによるグローバル気候マーチを支援するScientists for Future Japanが、下記の声明文を発表しました。 Scientists for Future Japanは、気候変動問題に深い関心を持つ日本の研究者の有志で、同じ志を持つ多くの研究者の賛同を呼び掛けています。

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Fridays For Futureの若者を支持する日本の科学者としての声明
2019年9月  

地球全体が異常高温、干ばつ、洪水などに見舞われている中、現在、100万人以上の世界中の若者や子どもたちが、金曜日に、様々な気候変動対策の緊急性を訴えるクライメート(気候変動)ストライキ/アクション(Fridays For Future)を行なっています。私たちは、科学者および一人の大人として、彼らがこれらの行動に至った思いを理解できます。気候変動の危機は現実のものです。彼らの将来に対する不安は最新の科学的知見によって裏付けられており、その具体的な行動も、現状を変えたいという強いメッセージです。  2015年のパリ協定では、国際法の下、産業革命以降の全球平均気温の上昇を2℃以下に保つことが決定されました。また、各国は、気温上昇を1.5℃以下にするよう努力することも約束しました。これらの目標達成には、遅くとも2050年までに二酸化炭素(CO2)排出量を世界全体で正味ゼロにすることが必要です。そのためには、たとえば世界中で石炭の使用を2030年までにほぼ終了する必要があります。公平性を考慮すると、欧米や日本などの先進国は、より早急な石炭火力発電などの停止が求められます。  しかし、日本では、石炭火力発電所の新設などが行われています。再生可能エネルギーや省エネの導入量もパリ協定目標達成のためには不十分です。英国などでは、若者や子供たちの抗議運動などによって、英国議会が正式に「気候危機(Climate Emergency)」を宣言しました。世界の500以上の自治体でも、同様の宣言がなされています。一方、そのような自治体は日本では皆無であり、エネルギーや気候変動が重要な政治的問題として語られる機会が少ないのが現状です。  科学は、気候変動は人間が出した温室効果ガスの影響である事を明確に示しています。私たちは研究者であるからこそ、今の状況が続けば何が起こるかを理解しますし、懸念もします。再生可能エネルギーや省エネなど、パリ協定の目標を達成するための技術は存在します。しかし、足りないのが政治的意思であり、それを支持する市民の声や行動です。  Fridays For Futureの若者や子どもたちが求めているのは、現在および将来の世代が安心して生きていける未来であり、気候変動に関する不正義や不公平の是正です。これらはまさに私たちに責任があります。ゆえに、私たちは個々の科学者として、若者や子どもたちのメッセージを全面的に支持し、世界全体での一斉行動が予定されている9月20日には、多くの人々が、科学者として、あるいは一人の大人として様々な形でこのメッセージを発信することを広く呼びかけます。 以上

<呼びかけ人(50音順)>
明日香壽川 東北大学教授
淡路剛久 立教大学名誉教授
鮎川ゆりか 千葉商科大学名誉教授
大久保規子 大阪大学教授
大島堅一 龍谷大学教授
甲斐沼美紀子 工学博士
小泉秀樹 東京大学教授
島村健 神戸大学教授
槌屋治紀 システム技術研究所所長
寺西俊一 一橋大学名誉教授
内藤正明 京都大学名誉教授
中口毅博 芝浦工業大学教授
西岡秀三 工学博士
原科幸彦 千葉商科大学学長
増田善信 元気象研究所研究室長
村山武彦 東京工業大学教授
吉田正人 筑波大学教授
鷲谷いづみ 中央大学教授